根管治療1年経過
30代女性
右下第一大臼歯の根尖に病変が認められました。
自覚症状は何もありませんでしたが、歯肉の腫れがあり膿が出てくる状態でした(瘻孔;ろうこう、サイナストラクトといいます)。
このような場合、患者さんの選択肢としては
①痛みが出る、腫れが大きくなるなど、不具合が生じるまで様子を見る
②治療を行う
のどちらかです。
①を選んだ場合、無症状のまま経過するかもしれませんが、病変を放置していたせいで、突然強い痛みが生じたり大きく腫れたりする可能性があります。場合によっては抜歯となる可能性もあります。
②を選んだ場合、治るかもしれませんが、治療を開始したことによる痛みが生じたり、歯根破折が見つかった場合には抜歯となる可能性もあります。根管治療を行っても100%治るとは限りません。
今回は患者さんと相談し、治療を行っていくことになりました。
虫歯を除去したのち、レジンで隔壁を立てて、ラバーダム防湿を行い根管治療を行います。
ラバーダムに関してはこちらをご覧ください。
2回くらいかけて、根管内の古い薬を除去し消毒を行いましたが、歯肉の腫れは改善しませんでした。
レントゲンを撮影して確認すると、近心根に原因がありそうです。
近心根は入り口が2つで中で一つにつながっていました。
入り口の部分を削ってその下の汚れを除去し、消毒しました。
次の来院時には腫れは消失していたので、根管充填を行いました。
根管充填時にはまだ根尖の透過像が認められます。溶けてしまった骨が治ってくるにはある程度時間がかかるので経過観察が必要です。
先日、メンテナンスに来院して頂いた際にレントゲンを撮影させて頂きました。
無事に骨が出来てきており、一安心です。
今回は無事に治ってくれましたが、治らないこともあります。当院で根管治療を行っても治らない場合(痛みや違和感が消えない、腫れが引かないなど)、
・抜歯をする
・外科的歯内療法を行う
・歯内療法専門医を紹介
といった方法を提案しております。
※根管治療は、やり直しの治療になればなるほど難しくなり、成功率が下がります。数回根管治療をやり直すと次は抜歯となってしまうことが多いです。まずは、虫歯にならないように予防が一番重要ですが、神経を取らなければいけない状態になった時は1回目の根管治療をきちんと行うことが大事です(歯科医院選びが大事です)。
そして、根管治療をきちんと行うことも大事ですが、その上の被せ物を精度の高いものを入れることも歯が長持ちするためには重要です。
橋本グリーン歯科では、時間や費用がかかっても将来的にやり直しが少なく、長持ちするような治療を心がけています。
雑で良いのでとにかく早く、安く、痛くなった時にだけ、痛い歯だけ治したいという方には合いませんのでご注意下さい。